2014年に設立された株式会社CureApp(以下、CureApp)は国内で初めて薬事承認を受けたDTx(デジタルセラピューティクス)を開発したメドテック・ベンチャーです。同社はニコチン依存症患者向けの治療用アプリの開発をはじめとする様々なデジタル治療アプリの開発や法人向けのオンライン健康支援サービスを提供しています。
CureAppの事業内容
治療用アプリの研究開発
同社は従来の医薬品やハードウェア機器では対処しきれない病気を治すために、医学的エビデンスに基づいた『治療アプリ』を開発しています。国内で初めて薬事承認された治療用アプリ「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」をはじめとして、様々な疾患に対する治療用アプリの開発を進めています。以下の図は、CureAppが現在取り組んでいる製品の対象疾患と開発状況について表したものです。
まず製品の開発段階について説明すると、①開発②臨床試験③申請④承認⑤上市という大きく分けて5つの段階に分けることができます。
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続いてCureAppが開発している製品を対象疾患ごとに分けて説明します。
ニコチン依存症
慶応義塾大学医学部内科学(呼吸器)教室と共同開発を進め、2020年12月には保険適用を経て上市しました。
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高血圧症
自治医科大学内科学講座循環器内科学部門の苅尾七臣教授らと共同研究を行っており、2022年3月9日に薬事承認を受けました。
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NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
東京大学医学部付属病院消化器内科と共同開発を進めており、2018年4月に臨床試験を開始しました。
アルコール依存症
2021年5月に地方独立行政法人岡山市立総合医療センター岡山市立市民病院で臨床試験を開始しました。
がん
2020年11月に第一三共株式会社との共同開発を開始しました。
心不全
2021年12月に医療法人社団ゆみのと共同開発を開始しました。
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オンライン健康支援のサービス
同社は「治療アプリ」開発に加え、そこで蓄積したノウハウを活用した民間企業や健康保険組合などの法人向けモバイルヘルスプログラムを提供しています。その第一弾として、「ascure(アスキュア)卒煙」と呼ばれる、「医師開発アプリ×オンライン指導×OTC禁煙補助薬の自宅配送」を組み合わせた禁煙ソリューションの提供をすでに始めています。同プログラムは医師開発アプリによる24時間365日の支援や、一回当たり20~40分にわたる、医療資格を保有した指導員によるオンラインカウンセリングを提供しており、実際に全国の健康保険組合の15%で導入されているといいます。
創業の経緯
同社の代表取締役である佐竹晃太氏によると、自身が米国の留学先で医療インフォマティクスに研究に携わっていた時に臨床現場におけるデジタル療法の可能性を示した論文(BlueStarに関する論文)と出会ったことが創業のきっかけとなったといいます。その論文と出会い、自身の専門である呼吸器内科でスマートフォン用アプリが効果を発揮できるテーマが何かを考えたところ、喫煙がもたらす健康被害の大きさに気づき禁煙治療用のアプリを思いついたといいます。そして帰国後、医師でありエンジニアでもあった鈴木晋氏と2014年に同社を設立したという経緯となっています。
今後の展開
国内で初めて医療機器として薬事承認を受けたDTxを開発した同社ですが、上記で挙げたように複数の治療用アプリ開発を同時並行で進めています。実際に高血圧治療用アプリに関しては2021年に薬事申請をした後、2022年の3月9日に薬事承認を受けました。国内で第二例となるDTxを既に上市させようとしている同社の開発から上市までのスピードは恐るべきものがあります。今後も国内DTxの第一人者として様々な製品をローンチしていくであろうCureAppの動向に期待しましょう。