Livongo Health-慢性疾患を抱える患者に良い生活を

Livongo Health Inc.とは

 Livongo Health Inc. (以下、Livongo Health) は2008年に設立され、アメリカカリフォルニア州マウンテン・ビューに本拠を置くバイオテクノロジー企業です。『慢性疾患を抱える全ての人がより良い健康的な生活を送ることができるようにすること』をビジョンとして掲げ、日々の食事や運動、その他健康に関するデータを収集及び活用することで、高血圧や糖尿病などの慢性疾患をマネジメントすることを支援しています。

同社はこれまで累計で245億ドルの資金調達に成功しており、2017年には糖尿病関連のサービスを提供するDiabetoを、2018年には減量をサポートするRetrofitを、そして2019年には精神疾患の行動療法を提供するmyStrength社を買収してきました。このようにして買収によって事業を拡大してきた同社ですが、2019年にはNASDAQに上場し、そして2020年8月にはTeladoc Health Inc. (以下、Teladoc Health)に買収されました

事業内容

 Livongo Healthは日々の生活習慣のマネジメントをサポートするアプリケーションの開発をはじめ、血圧モニターや血糖値測定器、体重計などの各種専用デバイスの開発を行っており、ハードウェアとソフトウェアの連携を行うことで利用者の健康情報を取得し、健康改善を図っています。

アプリケーション『Livongo』

引用元:https://www2.livongo.com/

 『Livongo』は、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を抱える患者を対象としたモバイルアプリケーションで、専用デバイスを通して収集した各種健康データや、日々の食事や運動の記録を管理及び分析することで個別に最適化したサジェストや専門家によるコーチングを提供しています。

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Teladoc Healthとの合併

 Livongo Health社は2020年8月に185億ドルで遠隔診療ソリューションを提供している米Teladoc Inc.に買収され、吸収合併しました。この合併により、糖尿病や高血圧、心疾患などの慢性疾患を治療するためのソリューションと、遠隔診療ソリューションとの連携が図られることになりました。

Teladoc HealthのCEOであるJason Gorevic氏はこの度の買収について次のようにコメントしています。「私たちは今後、予防医療から最も複雑な症例に関するものまでの医療体験を、さらに変化させていきます。消費者に“全人的ケア”を提供し、その結果として、顧客と株主により高い価値を提供することになるでしょう」と語っています。

買収の経緯

 両社は以前から提携や合併について議論していたようで、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて慢性疾患の遠隔診療に対するニーズが増加したことで、前倒しの形で買収の話が進んだといわれています。米ニュース専門局であるCNBCにインタビューによると、遠隔診療を得意とするTeladoc Healthと慢性疾患の治療を得意とするLivongo Healthが競合するのではなく、提携することで医療業界そのもののパラダイムシフトを図ることができると考え、今回の提携に至ったといいます。

買収金額である185億ドルはTeladoc Healthの当時の時価総額よりも大きい金額であったなど、かなりリスクを取った買収であったことが分かります。今回の提携はそのリスクを背負ってでも行うべきであると考えていたのですから、慢性疾患治療と遠隔診療を掛け合わせることの社会的インパクトがいかに大きいものであったかがわかります。

今後の展開

 米国には、1.47億人もの慢性疾患の患者が存在し、そのうちの約4割もの患者は二つ以上の慢性疾患を同時に抱えているといわれています。しかしながら、現在の医療制度ではそうした患者が継続的にケアを受けることのできる体制が整っていません。食事や運動の記録や専用デバイスを通して収集されたデータを基に、個別最適化された生活習慣改善のサポートを行うLivongo Healthのサービスはそうした現状を打破する一手となりえるでしょう。さらに遠隔診療を手掛けるTeladoc Healthと合併することで医療業界にパラダイムシフトを起こそうとする同社の今後の動向に注目しましょう。


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