メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下「MDV」)と国立研究開発法人 国立がん研究センターは、「骨盤底筋機能障害への再生医療及び治療予後を評価するDTxプラットフォームの開発」に対する共同研究契約書を締結しました。
同社は国立がん研究センター東病院泌尿器・後腹膜腫瘍科の増田均科長と大腸外科/クオリティマネジメント室の西澤祐吏室長と連携し、 DTx技術を活用した新たな取り組みとなります。
研究対象となる疾患
今回の共同研究においての対象疾患は、前立腺がんの手術後に発生する腹圧性尿失禁です。同疾患は、患者の日常活動、精神状況などに広く影響を与え、生活の質(QOL)を低下させます。そこで、同疾患に対する再生医療の治療法確立を支援することを目的とし、研究が進められます。
前立腺がんの術後合併症
前立腺がんの患者数は高齢化に伴い増加傾向にあります。同疾患に対する根治治療である前立腺全摘術の件数は、技術の進歩(主にロボットの導入)も相まって急激に増加しており、現在、国内では年間2万件弱施行されています。同手術の術後合併症として、腹圧性尿失禁が知られており、重症例は減少していますが、軽症~中等症例は10%弱の患者で見受けられます。
同疾患は、非手術患者でも加齢に伴い増加傾向にあり、超高齢化社会においてQOLの高い生活を過ごすためにも、積極的に取り組むべき社会的な課題となっています。
尿失禁患者のQOL管理
今回MDVが提供しているオンライン診療:オンラインドクターバンク(以下ODB)へ実装されたコルシカは、患者QOLをウェアラブルデバイスと連携し新たな分散化臨床試験(DCT)をリアルタイムで管理可能とします。
患者は、コルシカから定期的に表示されるQOL質問項目に答えるだけで、自動的にQOL評価が管理されます。これはQOLを著しく阻害する疾患に有効かつ効果的です。
また今回の共同研究において、同社はウェアラブルデバイスと連動して以下の機能を提供することを計画しています。これらのシステムによって、QOLの評価は遠隔デバイスを経由し排尿日誌や状態管理データライフログの収集・集積及びその解析を行うことが可能となります。
MDV取締役の岩崎氏によると、本件は、患者QOL データ収集を医療の質向上へ連携できる仕組みであると述べています。効果的な臨床データの収集・活用を通して新たなオンライン診療の可能性を提案し続け、さらなる流通、医療参加と病院側への患者集中の抑制に寄与したいと考えているとのことです。