2020年6月、米Akili社が開発した8歳~12歳のADHD患者向けのデジタル治療用アプリAKL-T01(米国での製品名:EndeavorRxTM)が世界初のゲームベースのデジタル治療としてFDAの承認を取得しました。小児のADHDを改善するというAKL-T01は、スマートフォンやタブレット上で操作するゲーム形式の治療法であり、認知機能において重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されているといいます。
同製品のFDA承認にあたって実施された臨床試験では、T.O.V.A.(持続的注意及び抑制制御に関する客観的な評価方法)の注意機能スコアであるAPI(Attention Performance Index)の変化量を主要項目とし、AKL-T01群は対照群に対して統計的に有意な改善が認められたといいます。また、安全性においては、AKL-T01群で問題となる有害事象は見られず、重篤な有害事象の発現も認められていないといい、臨床試験の実施によって同製品の有効性及び安全性が実証されました。
尚日本においては、塩野義製薬株式会社が開発番号SDT-001として本製品の開発に取り組んでおり、6歳~17歳の小児のADHD患者を対象として、有効性と安全性を探索的に検討することを目的とした第II相臨床試験を実施しているとのことです。
塩野義製薬は、取り組むべき重要課題として「社会生産性向上」を特定しており、ADHDを含む精神・神経系疾患を抱える患者とその家族に向けて多様な治療選択肢を提供することで、患者とその家族のQOLや生産性の向上を目指しています。
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