MSK障害治療のポルトガル発DTx『SWORD』

『SWORD』とは

 SWORDは、ポルトガルのSWORD Health社が開発したDTxで、MSK(筋骨格系)障害を抱える患者を対象としています。同製品はMSK障害に関するあらゆる部位(肩、首、足首、肘、お尻、膝、背中)や痛みの段階(予防、急性、慢性、術後)に対応しており、患者は時間場所を問わない、個別最適化されたケアプランを通して治療に努めることができます。

具体的な仕組み

 同製品はAIをベースとしたオンライン理学療法プラットフォームとなっており、実際の理学療法士(以下、PT)や医師の監修のもとMSK障害治療を行います。具体的には、問診→治療→フィードバックという流れになっており、この流れに従って継続的にエクササイズを行うことでMSK障害を治療していきます。以下、それぞれの工程について詳しく見ていきましょう。

引用元:https://www.mobihealthnews.com/news/digital-physical-therapy-company-sword-health-raises-additional-9m

まず、MSK障害を抱える患者がどのような状態であるかについて、実際のPTが問診を行い、それぞれの患者に合わせたケアプランを作成します。次に、作成されたケアプランに従って実際にエクササイズを行っていきますが、ここで指導するのは実際のPTではなくデジタル上のPT、即ちAIです。尚、エクササイズを行う際、患者は付属のウェアラブルセンサーを装着しますが、これがあることによってAIは患者の姿勢や動きを計測することができ、リアルタイムのフィードバックを送ることができます。

このようにして患者は日々、デジタルPTに従ってエクササイズを行いますが、必要に応じて実際のPTや医師が介入し、エクササイズの状況についてコンタクトを取ったり、ケアプランを変更したり行うこともあります。このサービスはいわば、PTが時間的、場所的制限があって継続的に行うことのできない治療をAIが代替してくれるサービスなのです。

予防プログラム『SWORD+』

 先述したものに加え、同社は“予防”に焦点を当てたソリューション『SWORD+』も展開しています。同サービスは3つのプログラムにより構成されており、筋肉や間接の怪我が表面化する前、または悪化してより深刻な状態に発展する前に対処するためのソリューションになっています。具体的にどのようなプログラムで構成されているかについて説明していきます。

The Academy

 まず、慢性的な痛みの解消と怪我の予防を通して生活の質を向上させることを目的とした、教育動画コンテンツについてです。ユーザーはこの動画コンテンツを通して、怪我しないようにするための適切な動きやストレッチ、姿勢、そして習慣などを学ぶことができます。

引用元:https://swordhealth.com/blog/sword-health-launches-the-industry%27s-first-end-to-end-clinical-msk-solution

Ask a PT

 次に、実際の理学療法士に質問することのできるメッセージ機能についてです。ここでは24時間年中無休で理学療法士に質問をすることができ、わざわざ病院に行くほどのものでない不安や疑問について気軽にメッセージで質問することができます。

引用元:https://swordhealth.com/blog/sword-health-launches-the-industry%27s-first-end-to-end-clinical-msk-solution

Digital Guardian

 最後に、ウェアラブルデバイスを通した姿勢矯正のプログラムについてです。特許取得済みのウェアラブルセンサーを通してユーザーの動きや姿勢を推定し、身体に負荷のかかるような動きについてリアルタイムでフィードバックを送信してくれます。例えば、荷物を持ち上げるときに腰に負担がかかるような姿勢をしていた場合、センサーはそれを感じ取り、メッセージにて姿勢矯正の注意喚起をしてくれるといったものです。

引用元:https://swordhealth.com/blog/sword-health-launches-the-industry%27s-first-end-to-end-clinical-msk-solution

今後の展開

 現在、MSK障害に対する治療方法としては、外科的手術や投薬などが挙げられますがそれらはコストがかかるうえ、根本的な解決に至らないことが多いとされています。一方で、理学療法はMSK治療に有効であることがわかっていますが、理学療法士が少ないことに加え、医師、患者ともに時間的、場所的制約があることから継続的な治療を十分に行うことができません

そこでSWORDのような、AIを活用したデジタルPTが時間・場所問わずエクササイズ指導を行うソリューションは、非常に有用性が高いことが分かります。需要はあるにも関わらず様々な要因により多くの人々が十分な治療を受けられないMSK障害を治すSWORDの今後に目が離せません。


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