ポルトガルのDTx企業、SWORD Healthが女性向けのDTx『Bloom』を新規提供開始

 2022年3月、ポルトガル発のDTxスタートアップSWORD Healthが女性のための新しい医療用デジタルソリューションの提供を開始しました。現在、同社はMSK(筋骨格系)疾患向けのDTxを提供しており、今回の製品で2例目となります。

女性向けのDTx『Bloom』

 Bloomは慢性骨盤痛を患う女性向けに開発されたDTx製品で、付属のセンサーを通して骨盤底の圧力とスタミナを測定し、アプリと接続することで各種エクササイズのフィードバックをリアルタイムに受けることができます。またそれに加え、骨盤に関する専門家がエクササイズを指導してくれます。

引用元:https://www.mobihealthnews.com/news/digital-msk-company-sword-health-launches-product-aimed-female-pelvic-pain

今回発売を開始した製品“Bloom”について、ゼネラルマネージャーであるMarta Cardeano氏は以下のように述べています。

「私は長年、骨盤の痛みに悩まされてきました。そして今、世界中の何千人もの女性を助けるこのソリューションを構築することを光栄に思っています。私と同じように、多くの女性は痛みから解放されるソリューションがあることを知らないだけなのです。私たちは、女性の生活の質を向上させるために、効果的で非侵襲的なソリューションで女性をサポートするためにここにいます」

慢性骨盤痛ついて

 慢性骨盤痛とは、「6か月以上持続する骨盤内に限局した痛みで、身体機能に障害を引き起こすほどに激しく、何らかの治療を必要とするもの」と定義されており、全女性の2~24%※が経験しているといい、多くは妊娠や出産に伴って発症することが分かっています。

※ 日本女性心身医学会, 森村美奈, 針田伸子: 慢性骨盤痛と外陰痛. 最新女性心身医学. pp178-187, ぱーそん書房, 東京, 2015.

今後の展開

 現在、MSK(筋骨格系)患者向けのデジタルケアと理学療法を合わせたソリューションはデジタルヘルスの中でも成長している分野であり、SWORD Healthはその中で大きな地位を占めています。実際に、同社は昨年1億6300万ドルのシリーズDラウンドヤ、2600万ドルの追加投資など、複数の資金調達に成功しており評価額は20億ドルになっています。

一方、女性を対象としたフェムテックの市場はデジタルヘルスの中で小さな割合しか占めていないものの、今後拡大していく見込みがあります。Rock Healthのレポートによると、この分野に注力するスタートアップは2021年8月までに13億ドルを調達しており、特に骨盤底を強化して尿失禁を治療する女性向けDTx『leva』を提供する企業Renovia社は、4月にシリーズCで1700万ドルの資金調達に成功しています。

既にMSK疾患を対象としたDTxで成功しているSWORD Health社が女性を対象としたDTxでも成功するのか、今後の展開に注目しましょう。


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