がん患者向けのデジタル症状管理プラットフォーム『Kaiku Health』

『Kaiku Health』とは

 Kaiku Healthはフィンランドのヘルシンキに本拠を置くKaiku Health社が開発したDTx製品で、がん患者のQOLを向上させるデジタル症状管理プラットフォームです。同製品は治療と治療の間や治療後の患者をサポートし、長期にわたる包括的な症状管理を可能としています。

また、患者は必要に応じてセルフケアに関する情報を得ることができたり、ケアチームとの連絡を取ったりすることもできます。そして収集したデジタルデータを基に、医療チームは患者を最善の方法で治療し、また新たな治療法を開発するための貴重な情報を収集することができます。

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科学的エビデンス

 同製品の医学的有効性については臨床試験を通じた科学的エビデンスに基づいています。実際に同製品を使用した場合、通常のケアと比較して全生存期間(患者の登録から死亡前の最終生存確認日までの期間)が延びたという研究報告があがっています。

転移性がん患者766人を対象とした無作為化比較試験では、化学療法中のデジタル症状モニタリングにより、患者の生存期間延長(全生存期間中央値が5.2カ月延長)、QOL向上(患者の31%)、入院(4%)およびER訪問(7%)の減少という結果が示されています。

今後の展開

 2021年4月、Kaiku Healthは大手製薬会社Novartisとの提携を発表しました。この提携によって両者は皮膚がんの一種であるメラノーマ患者の症状管理を支援します。

Novartis社は他にも米Propellr Health社や米PearTherapeutics社など、DTxを開発している企業との提携をしていることから、DTxへの高い関心がうかがえます。そうしたDTxに造詣が深いNovartis社との提携はKaiku Health社にとって追い風となることは間違いないでしょう。今後のKaiku Health社の動向に注目しましょう。


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