心臓病患者向けのDTx『myHeart』

DTx製品『myHeart』とは

 『myHeart』は心臓病を抱える患者向けにmy mhealth社が開発したDTx製品で、クラスⅠの医療機器として、CEマークをはじめとする各種認証を受けています。同製品は心臓病に関する教育コンテンツをはじめとして、個人向けの自己管理及び心臓リハビリテーションプログラムを提供しています。

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今回は数ある機能の中でも特に重要度の高い「Cardiac Rehabilitation(心臓リハビリテーション)」について掘り下げて説明させていただきます。

Cardiac Rehabilitation

引用元:https://mymhealth.com/myheart

 Cardiac Rehabilitation(以下、心臓リハビリ)とは、運動療法や学習活動、生活指導、カウンセリングを通して、心臓病を患っている患者が体力を回復し再発や再入院を防止するための総合的プログラムです。実際に同プログラムを利用した結果として、死亡率の低下と急性期入院の減少ということが報告されており、心血管疾患管理において最も効果的な治療法のひとつになっています。また、健康上の利点に加えて、手術や薬物療法と比較してコストが低いことから高い注目を集めています。

しかしながら現在、心臓疾患を持つ患者のうち、約36%の患者しか同プログラムを完了できていないといいます。その最大の理由としては、心臓リハビリへのアクセシビリティの低さが挙げられます。従来の対面診療の場合、患者が来院した時のみでしか、医師は心臓リハビリの指導を行うことができないのです。
この状況に対して、デジタル技術を活用した心臓リハビリでは、アプリケーションを通していつでも、どこでも行うことができ、かつ専門家も介入しているため継続してリハビリテーションを行うことができます

他コンテンツ

 同製品は他にも豊富なコンテンツを取り揃えており、例えば心臓病に関する教育動画コンテンツを通して患者は自身の疾患理解を深めることができたり、他にも、術後の回復トレーニングやストレッチに関する動画コンテンツ、心電図や心エコーの検査結果をまとめたレポート、心臓病に繋がりかねない日々の生活習慣に関するアドバイスなども取り揃えています。一方、医師側にとってはいつでも患者のデータを管理することができるため、時間や場所を問わない治療アドバイスを可能としています。さらには、蓄積された患者のデータを基に心臓病治療の新たな発見に役立てることができます。

今後の展開

 ここまで述べたように、心臓病の治療に有効な治療法として知られる心臓リハビリですが、2020年3月、従来の対面型心臓リハビリプログラムのほとんどがCOVID-19の影響により中断されました。これに対し、遠隔で実施することのできるmyHeartの利用はCOVID-19の第1波で124人(23.7%)と、増加傾向という結果になりました。
心臓リハビリの専門看護師であるShaun Porter氏は、次のように語っています。
『myHeartは身体状況、移動能力、ITリテラシー、社会経済的状況にかかわらず、すべての患者さんに個別最適化された心臓リハビリテーションサービスを提供することができます。これは、私たちの総合的な心臓疾患フォローアップクリニックと相まって、すべての患者さんが心臓疾患後に迅速かつ総合的に評価され、治療されることを保証しています。』

myHeartはイギリスドーセット州で採用されたアプローチとして、心臓リハビリの利用を促進し、心臓病に苦しむ多くの人々のQOL向上に大きく貢献しています。myHeartの動きに今後も注目していきましょう。


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