SyncThink-脳の状態を客観的にかつ正しく評価する

 2009年に創業し、カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くSyncThink社は、デバイスの提供を通して医療従事者が患者の脳の状態を客観的かつ正しく評価することを使命としています。同社はアイトラッキング技術と脳科学の研究に長年取り組み、多くの特許を保有しています。

DTx製品『EYE-SYNC』

 同社は2016年にVRを利用して眼球運動障害を分析し、脳震盪を診断する頭部装着型のアイトラッキングデバイス『EYE-SYNC』を開発しました。同製品は、同年3月に視線障害の検出に関する最初のFDAクリアランスを取得し、2019年には脳震盪の評価支援に関するFDA Breakthrough Devicesの指定を受け、その後2020年には脳震盪診断医療機器としてのFDA認証を受けました。

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引用元:https://syncthink.com/product/

創業の経緯

 同社は当初スタンフォード大学で視線追尾と脳震盪関連の研究をしてきたJamshid Ghajar氏が創業しました。まず同氏は2003年に主任研究員として、James S. McDonnell財団の資金援助を受け、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、カリフォルニア大学バークレー校、Weill Cornell医科大学の共同研究で、タイミング障害に関する最初の研究を実施しました。

そして2006年にはMinah Suh博士と共同で予測的アイトラッキングと軽度外傷性脳損傷(脳震盪)に関する調査をBrain Trauma Foundation(BTF)に発表し、その2年後にはRichard Ivry博士と共同で、損傷によって影響を受ける注意のメカニズム”Predictive Brain State(予測的脳状態)”の新理論を発表しました。そして2009年、国防総省の研究を支援する中でモバイルアイトラッキング技術の開発と分析を行うことを目的としてSyncThink社を設立しました。

今後の展開

 アメリカのCDC(Center for Disease Control and Prevention)によると、毎年5万人近くが外傷性脳損傷で死亡し、250万人以上が脳損傷のために緊急治療室に運ばれているということが発表されています。脳震盪に関する主観的な診断が横行している中、死亡につながりうる脳損傷を特定するためには客観的かつ信頼性の高い診断が求められることは言うまでもありません。2018年にシリーズAで350万ドルの資金調達に成功した同社はより信頼性の高いソリューションを提供するべく研究開発に奮闘しています。今後の同社の動向に注目しましょう。


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