『CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー』とは
CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーは株式会社CureAppがニコチン依存症患者を対象に開発したデジタル治療アプリで、厚生労働省から医療機器として承認を受けた国内初のDTxです。
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同製品は「禁煙治療のための標準手順書 第 7 版」(日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会 編)に記載されている標準禁煙治療プログラムと併用することで禁煙治療の補助を行うシステムとなっており、呼気一酸化炭素濃度測定器(CO チェッカー)をはじめとして患者側と医師側の双方にアプリケーションを提供しています。
同製品の主な機能を患者側と医療者側に分けて説明します。
患者側への機能
治療プログラム機能
メッセージや動画コンテンツ等を通して患者がニコチン依存症の疾患理解や行動療法に関する知識を深めることができる機能です。
実践管理機能
行動療法に基づいた日々の行動リストを個々に最適化して表示し、それを患者が実践したかどうかを記録・管理する機能です。
禁煙日記機能
禁煙欲求をはじめとして患者の体調や服薬状況を日ごとに記録する機能です。
チャット機能
禁煙治療プログラム、行動リストの実践及び禁煙日記の記録を対話式のメッセージで促す機能です。
COチェッカー
COチェッカーを使用して、日々の呼気一酸化炭素濃度(CO濃度)を測定することができます。同製品を通して測定されたCO濃度のデータはBluetooth機能によってアプリケーションに連携されます。
医師側への機能
患者データの管理
患者の基本情報にはじまり、アプリを使用した際の禁煙状況や治療プログラムの進捗状況などのデータを管理する機能です。
医師の診断補助
禁煙治療に関する診療ガイダンスなどを表示し、医師の禁煙診療を補助する機能です。
CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーの優位性
医学的効果
同製品は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構【通称:PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)】により医学的エビデンスに基づく効果が実証されており、厚生労働省からの薬事承認と保険適用を受けています。実際に、国内第Ⅲ相臨床試験において、9-24週における継続禁煙率が、対照群の50.5%に比べて63.9%と有意な結果が報告されています。
心理的依存に対するアプローチ
まず、ニコチン依存症にはニコチンに対する「身体的依存」と「心理的依存」の2種類があります。身体的依存はニコチンを摂取しないと不安症状をはじめとする精神的な問題をきたすものであり、禁煙治療薬が有効です。
一方で、心理的依存は食後や空き時間などに習慣的に喫煙する状態のことを指し、現在これに対する有効な治療薬はなく行動療法に限定されています。この治療方法では、患者が来院した時のみでしか医師は治療を施すことができず、次の診療までの期間で再び喫煙してしまう可能性が高いという問題が挙げられます。そのため、従来の行動療法に基づく治療では心理的依存を治すことは難しいとされてきました。
同製品はそういった診療と診療の空白の期間への介入を可能としていることから、従来の医薬品や診療では治すことの難しい心理的依存にアプローチすることが可能となって
個々の患者への最適化
同製品にはAIが実装されており、各患者が入力する日々の経過や状態を分析し個々に最適化されたアプローチを可能としています。そのため、各患者にとって都合の良い時間や場所で最適化されたコーチングを受けることができるため、無理なく継続して行うことができます。
医療データの利活用
従来の行動療法的な治療方法では診療間のデータを取得できないことから、各診療において長い問答を必要とします。一方で同製品は日々の記録を細かく記録しているため医師が短い問答で治療方針を決定することができ、またそれらを有効活用することによってニコチン依存症の治療方法改善に大きく貢献することができます。
今後の展開
日本国内初のDTxとして時代を切り開いたCureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーですが、同製品を開発した株式会社CureAppは今後様々なDTx製品を開発していく見込みです。
実際に2021年5月、同社はDTx製品第二弾として自治医科大の共同で開発を進めてきた『高血圧治療アプリ』を薬事申請し、国内では二つ目となるDTxの事例となりました。他にも東京大学医学部付属病院と共同でNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリの開発も進めています。同社はDTx開発が遅れている日本を引っ張る存在であり続けるのか、今度の動向に注目しましょう。