高血圧領域で世界初のDTx『CureApp HT 高血圧治療アプリ』

『CureApp HT 高血圧治療アプリ』とは

 『CureApp HT 高血圧治療アプリ』とは、株式会社CureAppが自治医科大学内科学座循環器内科学部門と共同で研究を進め、開発した高血圧治療用のDTxです。2022年3月9日に、厚生労働省が開催する薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会において薬事承認の了承を受けました

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製品の概要・特徴

 同製品は、日々の生活習慣の記録と血圧のモニタリング結果から個別に最適化された食事や運動、そして睡眠をレコメンドするアプリケーションです。高血圧治療で最も重要になってくるのが日々の生活習慣ですが、同製品を通じて健康的な生活習慣の形成と継続をすることで適切な血圧を保つことが可能となります。
では具体的に患者がアプリをどう使用して高血圧を治療するのかについて、もう少し詳しく説明します。

引用元:https://cureapp.blogspot.com/2021/09/cureapp-2021.html

アプリの稼働方法

 アプリ利用者が行うこととしては二つあり、日々の生活習慣の記録と血圧の測定です。運動や食事などといった日々の生活習慣に関しては手動で入力するもので、血圧の測定に関しては市販のBluetooth血圧測定器を用いて測定されたものが自動で入力されます。そうして日々の生活習慣と血圧のデータが蓄積すると、個々の患者に最適化された生活習慣のアドバイスがアプリケーション上に提示されます。患者はこれらのアドバイスを知識として身に着け、実行に移します。

具体的な行動変容の指標としては減塩、減量、運動、睡眠、ストレス管理、節酒の6つの項目が設けられており、これらの指標に基づいて生活習慣を整え、降圧効果の高い行動を習慣化することで高血圧を治療することができます。

医学的有効性

 同製品は自治医科大学内科学講座循環器内科学部門と共同で研究を実施しており、本態性高血圧症で治療中の20歳以上65歳未満の男女399例を対象に行った臨床試験では、実験群が対照群に比べて有意な降圧効果が示されています。具体的にはデジタル治療を使用する介入群と使用しない対照群にランダム割付けを行い、治療効果を比較したところ、主要評価項目に据えた、ABPM(自由行動下血圧測定)による24時間収縮期血圧のベースラインから12週後の変化はマイナス2.4mmHg(デジタル治療群:マイナス4.9mmHg、対照群:マイナス2.5mmHg)となりました。

高血圧パラドックス

 日本国内における高血圧患者の推定人口は約4300万人と推定されており、これはいわば日本国民の3人に1人が高血圧に罹っているという状況にあります。さらに高血圧を放置していると心臓病や脳卒中など死に至る病気へとつながってしまうケースも存在します。しかしながら実際に高血圧の治療を受けているのは1200万人しかいないとされ、残りの3100万人は放置しているといわれています。

これはいわゆる“高血圧パラドックス”と呼ばれ、高血圧患者のうちの7割もの患者が症状を放置している危険な状態にあるというのです。こうした現象の主な原因として、「生活習慣病の改善を自力で行うことが難しい」ということが挙げられますが、今回取り上げたデジタル治療アプリを使用することによって、高血圧患者が適切な生活習慣を築くことが期待されます。

今後の展開

 同製品は2022年の3月9日に薬事承認の了承を受けましたが、驚くべきことは、高血圧領域でDTxとして承認を受けたサービスは世界で初めてであるということです。また、日本国内においてDTxとして承認されたのは同製品が2例目にあたりますが、ソフトウェア単体で薬事承認を受けたのは日本国内で初めての事例となりました。というのも、国内で初めてDTxとして薬事承認を受けたCureApp SC及びCOチェッカーはハードウェアとソフトウェアを組み合わせたものであるからです。

ソフトウェアとして承認された日本国内初のDTxとして、また高血圧領域でDTxを展開した世界初の製品として、日本ひいては世界の高血圧治療をリードしていくのか、今後の展開に注目です。


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