この記事では、DTxと相性が良いとされる疾患についてご紹介します。全部で二回にわたるこのシリーズにおいて、前回の第一弾に引き続き、第二弾として、「慢性疾患」についてご紹介します。
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慢性疾患とは
慢性疾患とは、徐々に発症して治療も経過も長期に及ぶ疾患のことを指し、糖尿病や高血圧などが挙げられます。その原因は生活習慣病によるものと、腎疾患、リウマチ・アレルギー性疾患などが挙げられます。慢性疾患に対する治療方法としては長期的な薬物療法が挙げられますが、患者の治療継続や服薬率の低さが課題となっています。
慢性疾患とDTxとの相性
慢性疾患はDTxとの相性が良いとされています。というのも、慢性疾患は医師のもとに通い定期的に処方薬や治療の教育を受けることはもちろんですが、定期診察の合間で医師や医療スタッフが不在の「診療空白期間」でも、治療プログラムや薬の摂取を医師の指示通りに実践することが重要だからです。
DTxは、この診療空白期間における治療を代行し、次回の診察までのデータを保存し、診察に役立てることができます。特に、診療空白期間における治療を代行するという意味では、「症状を改善するためのプログラム」が重要な役割を果たします。中でもこのプログラムの多くは認知行動療法に基づいて構築されています。
認知行動療法とは
認知行動療法は、ものの受け取り方や考え方を指す、“認知”に働きかけて気持ちを楽にする精神(心理)療法の一種です。通常人間はストレスを感じると悲観的な考えに陥り、問題を解決できないこころの状態に追い込まれます。認知療法では、そうした考え方のバランスを取りストレスに上手に対応できるこころの状態をつくります。
具体的なDTx事例
では、具体的に慢性疾患を治療するようなDTxはどういったものがあるのかについてご紹介します。
株式会社CureAppが開発した「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」は、ニコチン依存症患者向けのDTxで、アプリ及び呼気測定器を用いた製品です。同製品はニコチン依存症の中でも「心理的依存」という習慣的にニコチンを摂取してしまう慢性的な症状に特化しており、診療と診療の空白の期間への介入を可能としていることから、従来の医薬品や診療では治すことの難しい心理的依存にアプローチすることが可能となっています。
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まとめ・今後の展開
2018年6月WHOのファクトシートによれば、全世界における死亡者数の71%に相当する4100万人がNCDs(心血管系疾患、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病など非感染性疾患)により毎年亡くなっているといいます。日本では、慢性疾患の中でも、糖尿病、高血圧症、がん、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病が国民医療費の約3割を占めており、死亡の割合は約6割に及んでいます。こうした慢性疾患に対して、従来の治療方法では対処することが難しかった診療空白期間に介入することのできるDTxは今後多くの慢性疾患患者を救うことができることが期待されています。今後の動向に注目しましょう。