世界初の慢性耳鳴りを治療するDTx『Kalmeda』

『Kalmeda』とは

 『Kalmeda』は2015年設立の独mynoise社が開発した、世界初の慢性耳鳴りを対象とするDTxです

 2019年12月に施行された『DVG(デジタルヘルスケア法)』により、ドイツ国内において『DiGA(デジタルヘルスケアアプリ)』の処方がヘルスケアシステムに導入されることとなりました。中でも『BfArM(ドイツ連邦医薬品医療機器研究所)』に認められ、かつ『DiGAディレクトリ』に収載された製品のみ、保険償還が可能になりました。現在このディレクトリには数十の製品が登録されていて、『Kalmeda』はその中でも特に効果が認められた製品として、永久にこのディレクトリに含まれることが承認されています。

引用元:https://www.kalmeda.de/

『Kalmeda』の仕組み

 KalmedaはCBT(認知行動療法)と呼ばれる、人が物事をどうとらえているか(認知)に注目し、行動変容を促す療法をベースとして作られました。

 同アプリ内には体系的に構築された5つのレベルがあり、その中にはそれぞれ9つのセクションがあります。ユーザーはそれらをクリアしていくことで自分の耳鳴りに対する認知を深め、自分でリラクゼーションを出来るようになり意識を耳鳴りから逸らして生活できるようになります。

『Kalmeda』の優位性

医学的効果

 同製品はRCT(無作為化比較試験)という、臨床試験の中でも厳密な評価方法を通じてその医学的効果が検証されています。臨床試験参加者187人中94人がKalmeda耳鳴りアプリを使用した認知行動療法の3か月後に耳鳴りのストレスが大幅に改善したという研究結果が出ています。

データセキュリティ

 同製品は最高のセキュリティ基準が守られており、アプリ使用者のプライベートな情報がKalmeda側にも渡らないようになっています。

『Kalmeda』を使用するにあたっての注意点

 上記のデータ保護の観点から利用者のアプリ内で情報が完結する仕様となっています。つまり患者自身が自分自身のセラピストとなり設定した目標を達成しなければならないため、精神科医の治療にあるような相互的なコミュニケーションはありません。

今後の展開

 現在、ドイツでは約270万もの人々が慢性耳鳴りに苦しんでいます。慢性耳鳴りは急性耳鳴りのような薬物のアプロ―チでは直すことが難しく、心理学的アプローチによる長期的な苦痛の軽減が治療目標となります。ですが心理学者の供給が不足していることもあり、ドイツの慢性耳鳴り患者は年々増え続けているなど、深刻な社会問題となっています。

 そのような状況下において、CBTをアプリケーションに落とし込むことで医者にかからずとも治療ができるKalmedaは需要があり、現在33000人もの利用者がいます。今後も同製品は利用者を伸ばしていくことでしょう。


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