AI指導で慢性疼痛を治療する『Kaia Health』

DTx製品『Kaia Health』とは

 Kaia Health社が提供している『Kaia Health』は、18歳以上のMSK(筋骨格)疾患患者向けのDTx製品で、FDAより医療機器としての認証を受けています。同製品はスマートフォンやタブレットを通して利用することができ、MSK(筋骨格障害)を治療するためのセルフマネジメントプログラムを提供しています。

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プログラムは疼痛管理のゴールスタンダードとして知られる、MMR(マルチモーダルリハビリテーション)というガイド付きの身体運動、リラクゼーション、疼痛教育を含む、疼痛に対する統合的アプローチが実装されています。このプログラムは、ユーザーの活動状況やニーズに合わせて柔軟に調整することができデータが蓄積すればするほどパーソナライズされたものになります。また、認定されたヘルスコーチとユーザーをペアリングする機能も備えています。

具体的な利用方法

 慢性疼痛を抱えたユーザーはまず、スマートフォンやタブレットを通して痛みの強さや位置、睡眠の質などの基本項目を入力します。すると入力された項目を基に15分程度の各種エクササイズが提示され、ユーザーはそれに従ってエクササイズを行うだけで慢性疼痛を経時的に緩和することができます。

引用元:https://kaiahealth.com/

Kaia Healthの優位性

包括的なエクササイズ

 同製品は、身体の可動性の向上や強化に加え、呼吸に関するウェルネスエクササイズを組み合わせており、痛みに対する身体的および心理的原因の両方の改善を可能としています。

実装されているAI技術

 同製品の大きな特徴であり優位性を発揮しているのが実装されているAI技術です。まず画像認識技術を駆使してユーザーの動きをリアルタイムで解析し、トレーニング中の運動パフォーマンスを評価することで、PT(理学療法)級の修正フィードバックを提供することができます。次に、ユーザーが回答した痛みのレベルや位置、そして毎日のフィードバックに基に各ユーザーにパーソナライズされたエクササイズを提供することができます。

医学的効果

 同製品はエビデンスに基づいた臨床試験によって医学的効果が実証されています。実際に、変形膝関節症または股関節症患者のリハビリテーション運動矯正の臨床試験において、同製品は理学療法士が行ったケアと同等の評価を示しました。また、3か月間にわたって行われた慢性疼痛に関する臨床試験では、同製品は標準治療(薬物利用から外科的介入まで含む)の2倍の疼痛軽減を示し、さらには副次的な結果として、不安や抑うつ、ストレス、精神的ウェルビーイングの4項目の改善が見られました。

今後の展開

 Kaia Health社によると、アメリカの成人の2人に1人がMSK疾患に罹患しており、医療費全体の約16%をも占めているといいます。こうした状況の中、同社が提供するDTx製品は、薬を使わない選択肢として自宅での疼痛管理をサポートし、いつでもどこでも自分の都合に合わせて使用することができるデジタルパーソナルコーチとして、MSK疾患患者を手助けする画期的なソリューションであることは間違いありません。今後の動向に注目しましょう。


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