ビデオゲームがADHD治療に!?FDA承認済み『EndeavorRx』

Akili社の『EndeavorRx』とは

 ベンチャーの米Akili Interactive Labsが開発した「EndeavorRx」は、2020年の6月15日に米FDA(連邦食品薬品局)から認可された8~12歳の児童のADHD治療を目的としたビデオゲームです。FDAに認可されたということは健康保険に入っていればビデオゲーム代にも保険が適用されるという訳です。

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 FDAがゲームをベースとしたADHD対象のDTx(デジタルセラピューティクス)を認可するのは初めてで、Akili社のCEOはこれに対して「FDAの決定で自分たちが歴史を作れたことを誇りに思う」とコメントしています。
また日本の塩野義製薬はAkili社と提携し日本での独占的な開発権と販売権を保有しています。現在は、国内でフェーズⅡの臨床試験を進めており、2024年の上市を目指しています。

https://www.endeavorrx.com/treatment/

EndeavorRxの治療法とADHDへの効果

 発達障害の一種である小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD)の注意機能(attention function)を持つ児童は、複数の仕事を並列して処理することを苦手とする場合が多いです。

 アキリのゲームは二つのタスクを同時に処理するもので、このゲームを通して、注意や作業記憶を司る前頭葉を刺激することができ、有意に認知機能が向上することがADHDと診断された600人以上の小児を対象とした臨床実験からわかっています。

 ゲームが薬になることに違和感を覚える人も多いと思われますが、ゲームの刺激的で中毒性のある楽しさはユーザーの利用の促進に繋がり、ゲームならではの効果は大いにあると考えられます。

今後の展開

 デジタル治療用アプリ開発企業であるAkili社(Akili Interactive)は2022年2月に上場することとなりました。著名投資家のチャマス・パリハピティヤ氏主導のもと、特別売買目的会社(SPAC :Special Purpose Acquisition Company)を用いた買収ディールの形式をとります。

 Akili社は創業から10年ほどしかたっていませんが2022年半ばに完了予定の買収ディールでは、同社の評価額はなんと10億ドル前後と見積もられています。
 フェイスブックの元幹部であるパリハピティヤ氏は2021年6月すでにAkili社と同様であるバイオテクノロジー特化のSPACを4社立ち上げており、Akili社のスムーズな上場が期待できます。

 またAkiliはEndeavorRx以外にもうつ病・自閉症・多発性硬化症などの改善に向けたゲームを開発する予定であり、特にASD(自閉スペクトラム症)治療のアプリはすでに今回のEndeavorRxと同様、塩野義製薬とライセンス契約が行われています。大きな成長が期待できるAkili社の今後にぜひ注目していきましょう。


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