AppliedVR社とは
米ロサンゼルスに拠点を置くAppliedVR社は2015年設立の患者の痛みや不安を緩和するためのVRコンテンツを開発している会社です。同社の主力製品である『EaseVRx』は「治療抵抗性の線維筋痛症および慢性難治性腰痛症」を対象とした全く新しい没入型治療装置で、VRを用いた医療デバイスでは初めてFDA(米国食品医薬品局)の画期的医療機器/デバイス指定(Breakthrough Device Designation)を受けました。
AppliedVR社の製品は既に240の病院と1,500の患者の家で、計60,000人以上の患者にいきわたっており、「脳の痛みの認識する方法を変えること」が治療に有効だということを実世界で証明しています。
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腰痛緩和の新しいソリューション『EaseVRx』とは
EaseVRxは治療抵抗性線維筋痛及び腰の慢性難治疼痛の緩和を目的としたVR治療コンテンツです。一日7分の治療を8週間自宅で行うことで患者が現実世界での痛みを認識する方法が変わり、日々を痛みにとらわれることなく前向きに生きることができるようになります。
EaseVRxには5種類のカリキュラムがあります。
- Dynamic Breathing: 呼吸を整えるトレーニング。
- Pain Education:痛みを緩和するためのVRエクササイズと行動医学的スキルを身に付けられる音声ガイド付きの映像レッスン。
- Pain distraction:痛みから注意を逸らすためのゲーム。
- Relaxation/Interoception:自分の力で段々と痛みを落ち着かせるための訓練。
- Mindful Escapes:ナレーションや音楽付きのユーザーが最大限リラックスできるように設計された360°パノラマ。
このカリキュラムは確立された疼痛管理の原則に基づいており、アメリカの巨大学術医療センターであるクリーブランドクリニックなど複数の研究施設と研究と臨床実験を重ねて作成されたものです。RCT(ランダム化比較試験)という、医学研究ではゴールドスタンダートと呼ばれるほど信頼できる評価方法でもEaseVRxを用いた実験群は対照群と比べて腰痛改善の効果が42%高かったという良い結果を(n=188)DTxとして十分医療機関で使えます。
また、治療抵抗性線維筋痛及び腰の慢性難治疼痛の緩和には従来、オピオイドという鎮痛薬が用いられており、その依存性で2017年にはアメリカで一日平均130人がオピオイド依存症で亡くなりました。EaseVRxの特性上、従来のような薬理学的介入や手術などをせず、リハビリのような形で治療できるのでそういう観点からみても有用性が高いことがわかります。
AppliedVR社のこれから
医療向けVRを手掛ける米国のスタートアップであったAppliedVR社は2021年3月のシリーズAラウンドで2900万ドル(約31億円)と2021年11月のシリーズBラウンドで3600万ドル(約41億円)を調達しました。累計7100万ドル(約81億円)にも上る同社の調達額は販売プラットフォームのさらなる拡充に使われ、多くの患者や医療従事者がEaseVRxを利用できるようになるとともに、今までかかっていた膨大な人件費や薬代などのコスト削減にもつながります。AppliedVR社のこれからに注目しましょう。