コロナ患者向けのバーチャル病棟『COVID-19 Virtual Ward』

DTx製品『COVID-19 Virtual Ward』とは

 『COVID-19 Virtual Ward』はmy mhealth社が開発したアプリケーションで、COVID-19と診断された、またはその疑いのある患者を管理及びモニタリングするためのバーチャル病棟です。COVID-19と診断された患者を在宅で監視・及びモニタリングすることを目的としており、患者だけでなく医療従事者に対する充実したサポートを提供しています。

↓↓↓ my mhealth社についてはこちらの記事をご覧ください

製品概要・特徴

引用元:https://mymhealth.com/covid-app

 まず、COVID-19と診断された、またはその疑いのある患者のもとには、24時間以内にパルスオキシメータが届きます。これは、動脈血酸素飽和度と脈拍数を測るためのもので、呼吸器が正しく機能しているかどうかを判断する指標の一つとなっています。それが届いたのち、動脈血酸素飽和度や脈拍数を測るとともに、提示されるいくつかの質問に答えると、NHSが定めるコロナ重症度を示すスコアがアプリケーション上に表示されます。仮にスコアが低かった場合にはCOVID-19重症化の可能性があると判断され、症状を最小限にとどめるための行動指針を提示してくれます。このようにして同製品はCOVID-19患者の重症化を未然に防いでいます。

また、同製品はmyCOPDなどのmy mhealth社が提供している他のアプリと連携することができ、COVID-19によって副次的に生じる疾患までもバーチャル病棟内で管理することができます

医学的根拠

 同製品を用いたケアは通常のケアと比較して死亡リスクが有意に減少し、入院期間が少なくなったという報告がされています。イギリスノースハンプシャー州の1496人の患者を対象とした後ろ向き研究において、酸素飽和度と症状の悪化を自宅で遠隔監視したとき、バーチャル病棟の環境下でケアを受けていた患者は通常のケアを受けていた患者と比較して入院期間が長くなる確率と死亡率が有意に減少したことが明らかになりました。*

*出典:Oximetry at home: evaluation of patient outcomes (2nd June 2021 www.medrxiv.org)

医療従事者にとってのメリット

 医療従事者のもとに表示されるダッシュボードには、担当するすべての患者の名簿から各患者の症状や酸素飽和度、脈拍などまで表示されます。従来の対面診療と比べて、このバーチャル病棟では患者の情報を一括で、かつリアルタイムで管理することができるため、重症化のリスクがあると判断された患者を優先的に、かつ迅速に対処することができます。さらには、記録された各患者の症状の推移をもとにより効果的な治療方法を確立するのにも役立ちます。

今後の展開

 2019年に発生してから世界的に蔓延し、世界中の人々及び医療サービスに混乱をもたらしたCOVID-19ですが、現在においてもその脅威は衰えることはありません。ただでさえ病床がひっ迫し、対面診療が制限される中、変異株が出現し、医療従事者は更なる対応に追われています。そのような状況下において対面診療を必要とせず、それでありながらリアルタイムでの処置を可能とするCOVID-19 Virtual Ward は、COVID-19患者だけでなく医療従事者を含めるすべてのステークホルダーにとって救いの手になるのではないでしょうか。画期的な製品を提供する同社の今後に引き続き注目していきましょう。


関連記事