EYE-SYNCとは
EYE-SYNCは、カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くSyncThink社が開発した診断及びリハビリデバイスで、FDAによる認証を受けています。同製品は、VRとデジタルアイトラッキング技術を活用したソフトウェアプラットフォームで、脳震盪の診断及び動体視力向上に活用することができます。以下、脳震盪の診断とパフォーマンス向上の機能のそれぞれに分けて説明します。
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脳震盪の診断
脳震盪とは、頭部に強い圧力が加わった時に発症する一過性の意識障害または記憶障害のことを指し、めまいやふらつき、耳鳴りや吐き気などを伴う場合もあります。近年、脳震盪はスポーツ業界を中心に波及しており、多くの場合、医療従事者が患者に指の動きを追わせて目の動きのほんの少しの異常さ確認するという、極めて簡易的な診断によって済まされているというのが現状の問題として挙げられます。そのため脳震盪を起こしたスポーツ選手がフィールドに再び戻れるかどうかは医療従事者の属人的な判断に任されています。
一方、EYE-SYNCでは、選手がデバイスを装着すると独自のアイトラッキング分析により60秒以内にレポートが作成され、選手がフィールドに戻ってよいかどうかの客観的な判断を行うことができます。具体的には、選手がヘッドセットを装着し、診断が開始されるとヘッドセットの画面に光の点が円を描くように動く様子が表示されます。選手は両目でこの点の動きを追うだけです。ヘッドセットには視線追尾機能が搭載されており、両目の動きや揺らぎを測定します。なんらかの障害があれば、視線の動きがぶれたりうまく追えなかったりすることから、脳震盪としてのスコアが表示されるという仕組みになっています。
リハビリ・パフォーマンス向上
スポーツ選手においては、高いパフォーマンスを発揮するためには優れた動体視力と予測能力が必要になってきますが、中には健常者であっても視力が劣っている選手もいます。同製品はそうした選手を対象として、視覚野の特定領域に焦点を当てたトレーニングを行うことでパフォーマンスの向上を目的としています。具体的には、脳震盪の診断のところで説明したようなVRとアイトラッキング機能を活用しており、光の点を任意の速度で動かすことにより動体視力の向上を図っています。こうして動体視力を鍛えることはパフォーマンスの向上だけでなく怪我の予防にもつなげることができるといいます。
まとめ・今後の展開
スポーツ業界にとどまらず、日常生活でも起こりうる脳震盪ですが、多くの人は簡易的な診断によって『自分は大丈夫』と済ませることが多く見受けられています。その結果、脳損傷の発見が遅れ、死亡に至るという最悪の事態を免れ得ないというケースも存在します。
そうした状況の中で、たった60秒で脳震盪の正確な診断を行うことのできる『EYE-SYNC』は今後も脳震盪の診断を通して脳損傷の正確な評価と治療により良い未来をもたらすことが期待されます。今後の動向に注目しましょう。