この記事では、DTxと相性が良いとされる疾患についてご紹介します。全部で二回にわたるこのシリーズの第一弾として、まず「中枢神経系疾患」についてご紹介します。
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中枢神経系疾患とは
“中枢神経系”とは、神経系の中でも中心的な役割を果たすものを指し、脳や脊髄がそれにあたります。特に中枢神経系の疾患というと、多くの場合は脳の疾患を指し、精神・神経疾患として知られています。これらの疾患は根本的な原因や解決方法が確立されていないために医薬品や外科的手術での治療が難しいという側面があります。
具体的な疾患
具体的な中枢神経系の疾患については、以下のような疾患が挙げられます。
アルツハイマー型認知症、てんかん、パーキンソン病、うつ病、解離性障害、強迫性障害、睡眠障害、摂食障害、双極性障害(躁うつ病)、適応障害、統合失調症、ADHD、パーソナリティー障害、発達障害、パニック障害・不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、依存症
中枢神経系疾患とDTxとの相性
先述したように、中枢神経系疾患は根本的な原因や解決方法が確立されていないために医薬品や外科的手術での治療が難しいという側面があります。脳の機能障害というのはリハビリ療法のような形で脳機能を向上することが最も効果的であり、ほかの疾患のように医薬品を用いたからといって治るわけではありません。こうした医薬品で治療しづらい疾患に対して、効果的な治療を提供するのがDTxなのです。
具体的なDTx事例
では、具体的に中枢神経系の疾患を治療するようなDTxはどういったものがあるのかについてご紹介します。
米Akili社が開発した「EndeavorRx」は、ADHD患者向けのDTxで、スマホなどのタブレット端末を通して与えられた課題をクリアしていくゲーム形式のアプリです。患者はこのゲームを通して二つのタスクを同時に処理することで、注意や作業記憶を司る前頭葉を刺激することができるといいます。
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まとめ・今後の展開
近年、世界各国において中枢神経系疾患患者の増加が危惧されており、世界保健機関(WHO)は2017年に、世界のうつ病患者は3億2千万人(全世界人口の4%超)以上存在すると発表しています。さらに、別の調査ではメンタルヘルスによる失職や休職により2010~2030年までに世界経済において最大16兆ドル(USD)の損失が生じることが発表されています。従来の薬物療法では対処することが難しいこの分野でDTxがより大きな効果を持つことが期待されています。今後の動向に注目しましょう。