日中の体調も大幅に改善、睡眠改善アプリ『Sleepio』

Sleepioを提供しているBig Health社について

 ロンドンとサンフランシスコを本拠地とするBig Health社は2014年9月17日(現地時間)にCBT(認知行動療法)対応のデジタル睡眠改善プログラム「Sleepio」をリリースしました。

 Big Health社のCEOで共同創業者のPeter Hames氏は自身も不眠症に悩まされていた過去があり、オックスフォード大学にて実験心理学を学んでいた経験からCBTという、薬に依存しない強力な不眠症の克服法があることを知っていました。そこでCBTについて本で情報を集めたり、CBTのコースを受講したりすることで不眠症を克服したそうです。この治療の中で彼はBig Health社の共同創立者であるColin Espie教授にコンタクトをとるきっかけを得て、創業に至りました。

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Sleepioについて

認知行動療法を導入したSleepio

 現在、睡眠治療は認知行動療法、薬物治療によって対応するのが一般的であり、今回のSleepioはその認知行動療法のテクニックと「パターン化された思考」を利用してアプリ使用者の睡眠の邪魔をする不安や思考を、睡眠へと誘うようなとりとめのない思考(あまり自分の不安や生活に関係のない思考)に焦点を移動させることによってアプリ使用者の睡眠の導入を助けるものです。

そもそも認知行動療法とは①認知の改善②行動の改善③気分の改善の3つの改善を行い、精神病の治療を目指すもので、医療機関でも行われているれっきとした治療法です。医者が不眠症の患者一人につきっきりで世話をすることは難しいですが、このアプリはいつでもどこでも患者に寄り添った治療を行うことが可能です。

また医療機関でSleepioを導入することにより、従業員一人当たりの医療費が1677ドル削減されると示されており、お金の面でも優しいものになっています。

アップリケーションの仕組み

引用元:https://hitconsultant.net/2017/12/19/big-health-castlight-health-partnership/

 具体的なSleepioの仕組みは以下のとおりです。

  1. 目標の設定:自分が何を改善したいのかを書く。
  2. 睡眠のテスト:自分の睡眠に関する詳細なアンケートに答える。
  3. プログラムの作成:アプリが使用者の目的を達成するためにアンケートの回答を加味して使用者に合うようなプログラムを自動的に組む。
  4. 毎週のレッスン:仮想的な睡眠の専門家、教授のもとプログラムが実行される。

臨床試験における医学的効果の検証

 Sleepioはプラシーボ効果が制御された臨床実験において、睡眠障害を患っている人に対し不眠、さらには抑うつ症状の大幅な改善が認められました。被験者は寝付きにかかる時間や夜中に目覚めてしまう時間が約60%も短くなり日中の体調も良くなったそうです。

また、Big health社のプロダクト はオックスフォード大学、スタンフォード大学、UCLAなど世界的な研究機関と協力して作られており、その研究は品質と透明性を確保するために一流の査読付きジャーナルに公開されています。プラシーボでない臨床的改善をBig health社はとても大事にしておりこのことは会社のホームページ(https://www.bighealth.com/research/)でも大々的に謳われています。

今後の展開

 Big Health社は2022年2月22日現在、睡眠改善アプリ「Sleepio」に加え、心配や不安の対処に特化したアプリ「Daylight」をリリースしています。

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世界的な科学者、アニメーター、語り手とタッグを組んでメンタルヘルスの問題に対処する同社のアプリは完成度がとても高く、今はアメリカ、イギリスでしか使用できませんが、DTxの利用が世界で進めばこのアプリの認知度は間違いなく上がるでしょう。同社の新しいプロダクト、今後の動向によく注目していきましょう。


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